2020年12月19日(土)開催の「激辛コン」について、ゲストプレイヤーとしてご参加いただく、すがのたすく先生よりメッセージをいただきましたので掲載します。


こんにちは、はじめまして。『モノトーンミュージアムRPG』のデザイナー、すがのたすくです。
この度は“激辛コン”の募集ページをご覧くださりありがとうございます。
“しんどい演目”をテーマとするコンベンションということで、ここはひとつぶっちゃけた話をさせて頂ければ、と思います。

“しんどいオンラインコンベ”は難しい

『モノトーン』において、“しんどい演目”はおおむね「難易度が高い」といえます。
これは「仲のいいPCたちが悪いボスを憂いなくやっつける」ようなお話に比べ、GMが気を配らなければならない箇所が飛躍的に上がる、という意味です。
なぜなら、何をしんどいと感じるかは人それぞれです。
“死にゆくヒロイン”と涙の別れを楽しめる方もいれば、救えないなんて耐えられないと考える人もいます。
“倒せない黒幕”に対し、歯ぎしりプレイを堪能できる者もいれば、GMに理不尽にいじめられている、と感じるプレイヤーもいます。
あなたの“しんどい”は、誰かの“ストレス”や“地雷”かもしれない――。
一歩間違うと、そこに悪意がなくとも同卓している参加者を傷付けてしまう、そういったセンシティブな性質を持つ遊び方なのです。

趣味嗜好を分かり合った“いつものメンバー”で、顔を突き合わせて行なうセッションであっても、“しんどさ性”のすれ違いや過剰な負荷、予期せぬ地雷によって、ストレスに苛まれる事故はまま起こります。
それが今回、
「“プレイヤーの動向を探るすべが声・文字に限定される”オンラインセッション」の、
「“初対面のメンバーが同卓する”コンベンション」で、
「しんどい演目」にチャレンジする訳です。
道のりの険しさやいかばかりか!

……ちょっとハードルが上がる言い方になってしまいました。
が、事実、非常に難易度の高いチャレンジブルな企画である、といえるでしょう。
であるからこそ、そういったセッティングの中で果敢にGM名乗りを上げて下さる方々を、拍手を持って迎えたいと思います。
GMの皆様の奮闘と、運営の皆様のテーマに即した綿密な対応なくして、このデリケートな内容のコンベンションを成功させることは困難でしょう。
あなたが、そして参加者の皆様が“しんどさ”を存分に楽しめるよう、私もゲストプレイヤーとして尽力いたします。

“しんどい演目”ってなんだ……?

GM参加を検討していらっしゃる方の中には、「しんどい演目って具体的に何なんだろう?」「自分が思うしんどさは正しいのだろうか?」という疑問があるかもしれません。

まず、しんどさとは各人の情動から生み出される感覚に基づくものであり、唯一解の「正しいしんどさ」などは存在しないものです。
人が死ねばいいのか、といえば、だれひとり死者は出ないが悲劇的に過ぎる演目もありますし、
悲劇なら……といっても、悲劇的でなくともしんどさを感じる展開は多々ありえます。
国が丸ごと滅びようと、全員が満場一致でハッピーエンドと叫べるような物語も存在するでしょう。

ちなみに私は「最初から死が確定しているヒロインが、PCの奮闘によって救われ満足ある死を迎える物語」(大好きでよく書きます)をハッピーエンドと捉えているのですが、どうも世間では、これはしんどいカウントされるケースが多いようです。
で、ここで重要なのは、私が思う(思っていない)しんどさも、それをしんどいと考える視点も、どちらも存在するということです。

何を“しんどい”と感じるかは本当に人それぞれです。
ゆえに、あなたがそれを“しんどい”と考えた時、それは確かにしんどい物語たるのです。
「そんなのしんどくないよ」という人がいたとしても、それはあなたと“しんどさ性”が違う、ということに過ぎません。
「〇〇の要素があるものがしんどい(orないからしんどくない)」という物差しや、
「辛さが大きければ大きいほどエラい・スゴい」などということもまったくありません。
あなたはあなたの思うしんどさに自信を持って挑んでくださいませ!

そして同時に、「唯一解の正しいしんどさ」がないということは、「あなたのしんどさが卓の絶対正義にはならない」ということでもあります。
あなたにあなたの“しんどさ”があるように、それを「しんどい」か「ストレス」と感じるかも受け取り手次第です。

だからこそ大切なのは、あなたの思う“しんどさ”を、「同卓するプレイヤーが楽しめる形」にして演目に詰めこむこと。
しんどさを分かち合える仲間があなたの卓を見つけられるように(また苦手とする方が事前回避できるように)、“どのようなしんどさを孕む演目か”の詳細を、しっかり事前告知してください。
その上で、セッション中に参加者とのすり合わせを惜しまず、辛さに耐えられないプレイヤーが出た際のケア対策を用意できたのなら、なお万全といえるでしょう。
(9月に発売した最新サプリ『アル・リヴェルソ』では、ここら辺の具体的な対策を解説しているのでチェックしてみてね)

最後に

長々と真面目なことを書いてしまいました。
「大丈夫簡単だよ!」「絶対楽しいよ!」ってポジティブな言葉を述べた方が宣伝向きなのは重々承知しているのですが、やはり“しんどい演目”の扱いはある一定確実に難しく、その性質に触れずにいることはできませなんだ。

演目作りに、嗜好の合うメンバーを集めるために、事前のすり合わせに、セッション中のマスタリングに、色々と大変なことがあるかもしれません。
けれどその果てに、あなたたちだけに見える地平が、忘れることのできない物語体験が待っています。
12月19日、ひとりの紡ぎ手として、あなたのしんどい世界を堪能させてくださいませ。
皆様のご参加をお待ちしております!